- - - - - - - -
土地購入は、お得?
- - - - - - - -
昨日、
福祉事業をしている社長さんとの月次会議で
このような質問を受けた。
社長
『300坪のいい土地があるんです
そこに今ある2つの施設を集めたいです』
『毎期500万円の利益が出るようになってきたし、
家賃を払うのも もったいないし・・・』
『だから、どうしても買いたいです』
その会社は、資金繰りが大ピンチの時に、
ボクのところに相談に来て、
一緒に、損益計画、資金繰り計画を作りあげて
銀行との打ち合わせにも同席した。
1,500万円の資金調達のサポートをした会社だ。
そこから2年、財務は改善し、資金繰りも著しくよくなったところだ。
銀行の担当者は、
『社長さんに、土地を買った方がいいですよ。
買いましょう。
賃貸料ももったいないですし、絶対得ですよ。」
融資に、とことん熱心だった。
融資をすれば、営業の成績もあがるし、自分の査定もあがる。
でも、私は賛成しなかった。
なぜなら・・・
社長の描く将来のビジョンの妨げになるし、
この会社にとっては、投資リスクが大きいと思ったから。
この会社には借入金があって、毎年、200万円の返済がある。
この土地を買い、施設を建てると、5,000~6,000万円くらいだろう。
そうすると、借入金の返済額は、毎年500万円になる。
毎期500万円利益がでても、借入金の返済が500万円あったら、手元に残るお金はない。
まだまだ社長さんや、その息子の給与は低いし
会社のスタッフだって、一般企業と比べたら低い
その投資計画を聞いても、施設を集めるだけで、事業の拡大が期待できるような内容ではなかった。
しかも、そこは永らく売れていない土地で、
住宅は建てられない調整区域の土地であった。
将来売ろうと思っても、売れるかわからない土地だった。
この社長には 夢 がある。
5つの施設をつくりたい もっともっと地域に貢献したい というビジョンがある。
ここで借入をして、投資をしてしまうと、財務内容からみて、次に資金調達するのが難しくなる。そうすると3施設目、4施設目の夢は遠のく・・・
今は、資産(土地・建物)を持たない経営をして、賃貸で、少しずつ施設を増やしていった方がよいと思った。
仮に失敗したら、すぐに撤退できるし、今だって賃貸の施設で成功しつつあるのだから、今のような成功ができれば、利益だって毎期1,000万円になるチャンスがある。
この会社の場合は、借入の負担を抑えた経営をした方が、3施設目、4施設目に行くのは早いと判断した。
余談で、知らない経営者も多いんだけど
土地は経費にならない。
賃借料はなくなるけど、法人税等は増えるから、土地購入が必ずお得ということはない。
返済がある期間(15~20年)は、資金繰りだって大変だ。
一度の不動産購入が、夢の達成を妨げ、
それどころか、会社のピンチを招き、廃業に追い込むことだってある。
後から聞いたところ、
その土地は、その銀行の取引先の会長が所有している土地だった。
売ってほしいと依頼されていたようだ。
すべてがこんなことはないけれども、時に、金融機関は、こういう理由で営業に動くことがある。
会社によっては、
できるだけ現金を残して、資産を持たない経営をするのは、ひとつの選択肢だ。
投資判断は、
経営者のビジョンと、会社の状況をしっかりと見定めておこなってほしい。
※参考になった方は、下の「☆マーク」たくさんクリックいただけたら嬉しいです!
元銀行員✖税理士 フカオーくん