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利益剰余金って、お金じゃないの?
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ある不動産業者と初めての決算報告会でのこと。
社長
「うちには5億円の繰越利益剰余金があるのに
なんで預金が1億円しかないんですか」
「利益剰余金って、お金じゃないんですか?」
繰越利益剰余金って
会社の決算書「資本の部」に記載される額のこと。
税理士
「繰越利益剰余金を一言でいうなら
会社を設立してから、
これまでの利益の累計額ですよ。」
社長
「やっぱり。じゃぁ 我が社が
これまで積み上げた5億円の利益は
どこに行っちゃったんですか?」
30年以上続く会社の社長・・・
長く経営者をやっていても、
しっかりと決算書を読める人は少ない。
では、
積み上げた5億円の利益は、
どこにいってしまったのか?
貸借対照表を見ながら考えてみよう。
だいたいこんな感じだった。
<資産の部> <負債の部>
預金 1億円 借入金 2億円
在庫 1億円
土地 2億円 <資本の部>
建物 3億円 資本金等 5億円
計 7億円 計 7億円
ちょっと難しいけど・・・
貸借対照表の話をするね。
貸借対照表の右側のところの
負債の部、資本の部って、
お金の調達を表している。
借入を2億円したら、
預金は2億円増えるし
利益を5億円あげたら
預金は5億円増える。
借入2億円+利益5億円だから
7億円の預金があることになるよね。
逆に
貸借対照表の左側のところの
資産の部って
調達したお金を
運用した状態を表している。
調達した7億円は
何も運用していなければ
預金が7億円となる。
お金を使っていなければ、
貸借対照表は、下のような感じ。
<資産の部> <負債の部>
預金 7億円 借入金 2億円
<資本の部>
資本金等 5億円
計 7億円 計 7億円
ところが・・・この会社は、
この預金のうち、6億円を使った。
1億円で
在庫(販売用不動産)を購入し
5億円で
自社不動産(土地2億+建物3億)を購入した。
だから、残ったお金は1億円。
儲けた利益の5億円は
何も使わなければ5億円の預金だったけど
不動産を購入したから
預金が不動産に変わった
ということ。
繰越利益剰余金って名前から、
現金だ、預金だ、お金だ
と思われがち。
利益剰余金がたくさんあるから、
うちは素晴らしい会社だ
お金をたくさん使っても大丈夫だ
と、大盤振る舞いで、
資産を購入した会社を見たりするけど、
会社の状況によっては
良いと思えないケースがあるからね。
実際、不動産等を買ってしまった後に
業況がピンチになって
運転資金が足りなくなったから
借入をしようとしたけど、
銀行はお金を貸してくれなくて
倒産なんてことはよくある話。
自社ビルを購入したら、
会社の利益は増えるのか?
レクサス5台購入したら、
利益は増えるのか?
税金を払うのがもったいないからと、
資産を買ったら 税金は減る
かもだけど 預金も減る からね。
儲かって増えた預金を
売上や利益を伸ばすために、
事業に1億円投資した方が良い場合があるし、
いつ来るかわからないチャンスが来た時のために
預金としてプールしておくことも重要だと思う。
結局、
キャッシュを
たくさん持っているのが一番強い!
銀行からの評価もそう。
慎重かつ大胆に。
バランスを考えて、お金の使い道を検討しよう。
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